研究分担者 |
山田 雅博 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (00263666)
佐藤 直紀 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (90280370)
竹内 茂 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021330)
伊藤 昭夫 近畿大学, 工学部, 講師 (30303506)
石渡 哲哉 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (50334917)
山崎 教昭 室蘭工業大学, 工学部, 講師 (90333658)
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研究概要 |
[形状記憶合金問題] 形状記憶合金の力学的変化において,歪みと応力の関係は通常の関数関係ではなく,ヒステリシスと呼ばれる過去の履歴に依存する作用素において表現される。従来,数学的困難からこの関係は多項式近似によって表現され,これをもとにした数理モデルに対する研究が進められてきた。そこで,本研究ではその対応をgeneralized stop operatorを用いて数学的に表現し,それと同値である常微分方程式をシステムに取り込んだ数理モデルを導出し,そのモデルを解析してきた。まず,第一段階としてヒステリシスと同値である常微分方程式を近似した1次元問題を考え,その解の存在と一意性を証明した。次に,常微分方程式を近似せずそのままの形を扱ったシステムを考察した。この際,問題となるのは,常微分方程式には空間的正則性を保証する性質がないので,古典解の存在を証明できないことである。従って,ここでは弱解を考えその存在と一意性を示した。そして,3次元問題を考察対象としたが,解の正則性が不十分なため,近似問題の適切性のみを証明するにとどまった。とはいえ,数学的には放物型方程式の弱解に対する評価を精密にするなどの成果が得られた。また,1次元問題に対して,数値解を求める研究も進行している。現時点では,システムに対する結果は十分に得られていないが,その解析に必要な,運動方程式に対する数値アルゴリズムが完成したことは,成果の一つである。 [強磁性体における磁化過程] 強磁性体における磁化過程は最も代表的なヒステリシス現象であるにも関わらず,その数学的取り扱いが確定していない。そこで,本研究においてgeneralized Duhem modelのアイデアを用い,ヒステリシスを数学的に表現し,それをモデルに採用し,問題の適切性を示すことができた。その問題はある種のquasi variationalな変分問題とみることもでき,この重要な研究分野に新たな具体例を与えることができた。
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