研究分担者 |
山上 滋 茨城大学, 理学部, 教授 (90175654)
尾畑 伸明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10169360)
浦川 肇 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50022679)
植田 好道 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (00314724)
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研究概要 |
Hilbert空間上の作用素論・作用素環論およびそれらの非可換確率論への応用を研究した.近年D.Voiculescuが開拓した自由確率論は,非可換確率論の一つとして大きな発展を遂げている.これに関連して,ランダム行列に対する大偏差原理や自由相対エントロピーについて研究した.自由積の手法を用いて,(補間型)自由群環上の自己同型について研究した、また,作用素の平均に対するノルム不等式について研究し,作用素の算術・幾何平均ノルム不等式を拡張した一連の不等式を示した.具体的な成果として, (1)行列の作用素単調関数とユニタリ不変ノルムに対して成立する新しいノルム不等式を示した. (2)自由エントロピーを2変数に拡張した自由相対エントロピーを考察した.2重対数積分による表示と行列近似による表示の2通りの定義を与え,それらの同一性をランダム行列の標本固有値分布に関する大偏差原理を用いて示した. (3)自由積の手法を用いて,(補間型)自由群環上にaperiodicな自己同型が連続無限個存在することを示し,その接合積の性質を解明した. (4)2重積分変換の理論とSchur multiplierの方法を用いて,作用素のユニタリ不変ノルムに関する算術-幾何平均不等式を精密化したノルム不等式を与えた. (5)半正定値行列に対し,ユニタリ不変ノルムの劣乗法性と劣加法性を比較する不等式を示した. (6)確率測度に対するTalagrandの輸送コスト不等式のBiane-Voiculescuによる自由確率アナロジーを,ランダム行列近似の方法を用いて,より一般な設定で再証明した.
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