研究概要 |
14年度は,時間大域的に安定性と信頼性が保証された離散スキームの構成を中心に研究を進めました。抽象放物型発展方程式論の専門家であるファビーニ教授(ボローニャ大学)および朴教授(釜山大学)を招聘し最新の研究結果の提供を受けるとともに研究課題についての議論を交換しました。辻川教授(宮崎大学)を本学に招いて研究の打ち合わせを行ったのを始めとして,研究課題に関係する国内各研究者と交流し研究計画の進展を図りました。また,関係方面の情報を得るために洋書・和書を購入しました。このような研究活動から,バナッハ空間において非線形連続半群から決まる力学系の指数アトラクターに対して,時間大域的に安定でありかつ誤差が大域的に一定に保たれるような離散スキームの構成に成功しました。 15年度は,前年度の成果を基にして,非線形拡散方程式系の解に対する大域的な数値計算を中心に研究を進めました。アトラクター研究の権威者であるエフェンディエフ教授(シュトッツガルト大学)を招聘するとともに,走化性・増殖モデルの提案者である三村教授(広島大学)等と交流しました。また,シミュレーションを実施するためのソフトを購入するとともに計算データを処理するために大学院生に協力してもらいました。このような研究活動から,走化性・増殖モデルには,漸進的パターンとしてネットワークパターン,短期的パターンとしてターゲットパターンとミシン目ターゲットパターン,また長期的パターンとして蜂の巣,帯状,ミシン目帯状,動的帯状,動的斑点の各パターンが現れることを見出しました。このように走化性・増殖モデルは大変にバラエティー富むパターン解を内包していることを明らかにしました。
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