研究課題
基盤研究(C)
銀河団の構造の理論的・観測的研究については、銀河団のX線撮像データを解析する際に用いる銀河団高温プラズマの密度分布を表すモデル関数として、これまでよく使われてきた割には問題の多い等温βモデルに代わるべき新しい有力な関数を立ち上げた。その関数の観測データとの適合性は等温βモデルを上回り、得られる質量分布も従来見られた重力レンズ効果の観測結果との不一致を解消する傾向にある。これと並行してX線観測データを使った現実の銀河団の構造の詳しい研究も行った。対象とした銀河団は中心にcD銀河を持つA2029で、解析は現在も進行中であるが、中心部の温度構造は2成分の方が良いなど、興味深い結果が多く得られている。次に、銀河団のスニヤエフ・ゼルドビッチ効果を用いたハッブル定数の精密測定については、5個の遠方銀河団(0.143≦z≦0.282)に対するROSATとASCA(X線)およびRyle Telescope(電波)の観測データを使って、Ω(物質)=0.3、Ω(宇宙項)=0.7の平坦宇宙についてHo=66+11/-10(統計誤差)+9/-8(系統誤差)km/s/Mpcの値を得た。我々が採用したサンプル銀河団は、その幾何学的構造について特に何も制約は無く、また電波観測データの解析にあたっては点源からの寄与を極力排除してある。系統誤差が他の研究グループよりも小さいのはこれによる。このHo値はWMAPによる宇宙マイクロ波背景放射(CMBR)の温度揺らぎの観測から求められた値Ho=71±2km/s/Mpcに比べて少し小さいが、誤差の範囲で一致している。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 357
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Advances in Space Research (印刷中)
Advances in Space Research (in press)
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