研究概要 |
本研究は,3重水素内における2核子相互作用の役割を^2H(n,np)n,^2H(n,γ)^3H反応を用いて研究することが目的である.実験では50-100MeVの単色中性子を標的に照射し,中性子捕獲反応からのγ線を測定する.逆反応の研究でほぼ確立されている中間子交換流によるγ線の2体吸収機構を利用し,原子核内2核子が関与する励起や相互作用を調べる.同時に測定する^2H(n,np)nでは,散乱の終状態相互作用の大きさからn-n系の散乱長を決定することが目的である。 年度内に開発したエネルギー40-90MeVの中性子ビームを用い中性子散乱・捕獲反応実験に使用することが出来ることを示すテスト実験を行った。実験はアクティブ標的として用いる3層構造重水素化液体シンチレーターに中性子ビームを照射し,終状態に放出されるγ線および中性子を測定した。その結果,標的としての重水素化液体シンチレーターをトリガーとした測定が20kHz程度の計数率までは可能であることがわかった。γ線の検出にはGSOシンチレーターを用い2H+n反応により,終状態に生成されるγ線および中性子の測定を重水素化シンチレーターのトリガーで行った。 実験のデーダ収集はCAMACを基本にしたシステムからVME+PC/LINUXを用いたものに移行した。VMEクレートと理学研究科およびサイクロトロングループと共同で開発したシステムを使いVME-ADC/TDC/QDCモジュールからデーター収集に問題が無いことを確認した。 これらの研究成果は今後,われわれのグループで研究を進めている,光子や中性子ビームを用いた核物理実験に生かしていきたいと考えている。
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