研究概要 |
1.BRST変換で不変になる質量次元2の複合演算子の構成に成功した.その真空凝縮によって,非対角グルーオンが質量を獲得して,アーベリアンドミナンスと呼ばれる双対超伝導を裏付ける現象に初めて理論的説明を与えた. 2.Cho-Faddeev-Niemi分解と呼ばれるヤン・ミルズ場の非線形変数変換の新しい見方を与えた.これによって,新たにカラー場を導入することで,理論が持つようになった拡大されたゲージ対称性が,新しい最大可換ゲージ条件を拘束条件として課すことで,ゲージ対称性が制限された結果,元々のヤン・ミルズ理論を再現することができることを示し,従来の困難を解決した.これによって,ゲージ不変性な磁気単極子,ゲージ不変性な質量項や次元2の真空凝縮の導入が可能になった. 3.Cho-Faddeev-Niemi分解の新視点に基づいて,摂動計算を行うために,冪零性を持つBRST変換と反BRST変換を構成し,BRST量子化の定式化を行った.同時に,新しいタイプの最大可換ゲージ固定法を提唱した. 4.Cho-Faddeev-Niemi分解の新視点に基づいて,非摂動的解析を行うために,この分解の格子上の定式化を提案し,新しい最大可換ゲージ条件を課してもカラー対称性を壊さないことをあらわに数値シミュレーションで示した.また,基本場としてスカラー場を含まないヤン・ミルズ理論においても,ゲージ不変な磁気単極子が定義できることを示した. 5.質量次元2のBRST不変な真空凝縮が,Gribovコピーを無視する範囲内では,ゲージ固定条件に依らないという意味で弱いゲージ不変性を持つことを示した. 6.シータ項の導入によってダイオンになるような磁気単極子配位からのヤン・ミルズ場の寄与が,位相的磁化率の評価において支配的であることを示し,U(1)問題の解決において磁気単極子が重要な役割を果すことを指摘した.
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