研究概要 |
1.超重力理論とゲージ場理論の双対性については,4次元N=4のsuper Yang-Millsと5次元AdS空間での重力の間の双対性を取り上げた。4次元理論に背景重力場があれば、Weyl anomalyと呼ぶものがあるが、これは従来large-N極限においてのみ重力理論と双対関係にあることが知られていた。我々はこの極限を超えて,1/N^2の補正を取り入れても双対性が成り立つことを示した。 2.超対称性の破れについては,anomaly mediationと呼ばれる超対称性の破れの機構にまつわる問題,tachyonic slepton問題を肯定的に解決した。我々は従来のsuper Weyl anomalyのみならずKaehler anomalyと呼ばれるものを取り入れることによって現象論的に意味を持つモデルを構築した。 3.低次元の非可換スカラー場の理論の非摂動的な側面に焦点を当て、ソリトン解の性質、モジュライの性質、ソリトンの低エネルギーでの散乱において成果をあげた。また反可換でない超空間上での場の理論への拡張も行い、新しいタイプの超対称CP^N非線形シグマ模型の構成に成功した。 4.Einsteinの重力理論とWeinberg-Salam理論を結合した系で,トポロジカルに非自明な配位を見つけ、それが初期宇宙における磁場の生成に関係しているという可能性を指摘した。 5.高次元理論のコンパクト化によりヒッグス場が導かれるという考え方のもとで,高エネルギー実験でのbileptonの生成断面積を数値計算した。また,ニュートリノが関与するKamLANDやSNOの実験データ解析に必要な輻射補正の計算も行った。
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