研究概要 |
^<50>V,^<138>La,^<176>Luなどの極微量な超長寿命の天然放射性核種は中性子数のmagic numberの付近の核種で、核物理において、非常に興味深いのみならず、天然な超長寿命の放射性核種のため、年代の測定や宇宙物理においても、非常に重要な核種である。本研究は、^<50>V,^<138>La,^<176>Luなどの極微量な超長寿命の天然放射性核種の超微細構造や核電荷、電磁モーメントの解明を目指して、精密レーザー核分光を行った。これまで開発した高分解能半導体レーザー分光装置を用いてこれまでの研究領域を拡張し、より軽い原子^<89>Y等のレーザー核分光を行い、ランデg因子や超微細構造定数が得られた。また、パリティ非保存現象に密接に関係するStark効果を調べ、40keV/cmまでの強電場をかけ、Rbの5s^2S_<1/2>→5p^2P_<1/2>の795nm遷移及びCsの6s^2S_<1/2>→6p^2P_<3/2>の852nm遷移におけるStarkスペクトルを観測し、Rb, Csのスカラー、テンソル分極率を求めた。特に、極微量な天然放射性核種を測定するため、2倍波装置を導入し、既存の半導体レーザーに組み合わせて高分解能な紫外光源を得ることができた。最大100μWの紫外光を発生し、高分解能な分光装置を用いて、^<27>Al等の紫外領域の高分解能なレーザー核分光に成功した。本研究では、初めて^<27>Al原子の基底状態を含む4つの準位の超微細構造定数を決定した。更に、紫外領域の吸収の強い光学遷移を用いて微量の天然放射性核種^<176>Luのレーザー核分光を行い、^<176>Lu及び^<175>Luの超微細構造定数と^<176-175>Luの同位体シフトが初めて得られた。これまでの研究成果の一部は原著論文として発表され、大部分は現在論文作成中である。
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