配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究の目的は二層量子ホール系において,主要な占有率での基底状態,励起スペクトル,層間トンネル電流の電位差依存性などが,層間距離,トンネリングの強さ,スピンゼーマン分離の大きさなどの関数としてどのように変化するかを調べることであった.その際の方法としては,解析的な方法,厳密対角化法,密度行列繰込群法(DMRG法)を用いることとし,最後のDMRG法については,一層系で成功したプログラムを二層系に拡張するというプログラム開発も研究の目的とした.この目的に対して,以下の成果が得られた. 1.整数占有率で二層のランダウ量子数が異なる場合.この場合,層の自由度を擬スピンで表すと,イジング的異方性を持つモデルとなる.ここで,層間距離により密度波状態が出現し,その時の位相に2通りの可能性があることを明らかにした. 2.占有率が1/2の場合には基底状態は,各層の厚さ,層間距離,トンネリング強さの関数としてハルペリンの331状態,パフィアン状態,ストライプ状態,複合フェルミオンの液体状態と様々な可能性を持つが,ある種の実験に対応する層間距離と層の厚さの場合にはトンネリング強さの関数として,基底状態は331状態からパフィアン状態に連続的に変化する,一方,最低励起状態は通常の準粒子状態から,非アーベリアン統計の準粒子状態に不連続に移行することすることを明らかにし,この実験で見られた奇妙な結果に正しい解釈を与えることができた. 3.DMRG法のプログラム開発.2次元系にDMRG法を用いるのは容易ではないが,既に成功した一層系でのプログラムを二層系に拡張することに成功した.このプログラムによる二層系の研究は現在進行中である. 4.層間距離が十分に大きい場合の振る舞い.様々な占有率での基底状態を調べ,ストライプ相ができる条件を明らかにした.ショットノイズで観測される「電荷」の意味を明らかにした.
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