研究課題/領域番号 |
14540318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
関根 ちひろ 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (60261385)
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研究分担者 |
李 哲虎 産業技術総合研究所, 電力エネルギー研究部門, 研究員 (80358358)
城谷 一民 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90110692)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | スクッテルダイト / 金属-絶縁体転移 / ネスティング / 四極子転移 / 構造相転移 / 反強磁性 / 金属リン化物 / 希土類化合物 / 強相関電子系 |
研究概要 |
PrRu_4P_<12>は62Kにおいて金属-絶縁体転移を示す。転移温度で比熱には二次転移と思われる大きな異常が観測されているが、帯磁率には顕著な異常は観測されない。また、磁場中比熱測定から転移温度は12Tまで磁場依存性がないことが確認されている。これらの実験結果はこの金属-絶縁体転移は磁気転移によるものではないことを示唆している。そこで転移に伴う構造変化の有無を調べるため、単結晶試料を用いた電子線及び放射光X線を用いた詳細な回折実験を行った。その結果、転移温度以下で超格子反射を観測した。低温相の空間群はPm-3であると考えられる。この構造変化とバンド構造との関係からPrRu_4P_<12>の金属-絶縁体転移はP原子のp軌道からなる主要フェルミ面のネスティングが起源であると考えられる。 同様の金属-絶縁体転移はSmRu_4P_<12>でも観測されている(転移温度16K)。しかし、PrRu_4P_<12>のような転移に伴う構造変化は現在、観測されていない。また、PrRu_4P_<12>と対照的に帯磁率に顕著な異常がみられる。さらに、転移の磁場依存性を詳細に調べたところ、この金属-絶縁体転移は連続する二つの転移によって二段階で起きることがわかった。これまでの比熱、帯磁率の測定結果から結晶場基底状態は四重項と考えられる。この四重項は磁気的自由度及び軌道の自由度を持っているため、この化合物の連続する二つの転移はCeB_6で見られるような反強四極子転移、反強磁性転移である可能性が高い。そこで、この二つの転移の性質を詳しく調べるため30Tまでの磁化測定を行った。その結果、低温側の転移は磁場増加とともに単調に低温側にシフトするのに対し高温側の転移は磁場増加とともに高温側にシフトし、20T付近からあまり変化しなくなることがわかった。これは、反強四極子転移を示す物質の相図に見られる"リエントラント"な振舞を示唆する。また、Smを含む他のスクッテルダイト化合物に関しても詳細な比熱測定を行い、結晶場基底状態を調べた。
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