研究課題/領域番号 |
14540362
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
久保 健 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30015862)
|
研究分担者 |
戸塚 圭介 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80291079)
桃井 勉 筑波大学, 物理学系, 助手 (80292499)
宮原 慎 青山学院大学, 理工学部, 助手 (90365015)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 多体交換相互作用 / スカラーカイラリティー / 双対性 / ヘリウム3薄膜 / 梯子スピン系 / 磁化プラトー / 3角格子スピン系 / フラストレーション / 拡張ハバード模型 / ストライプ融解相転移 / 希薄磁性半導体 |
研究概要 |
多スピン交換を持つスピン系、および関連する量子スピン系について研究を行い、以下の成果を得た。 1)2、3および4スピン交換を持つ3角格子上のスピン模型の基底状態を、分子場近似を用いて詳しく調べ、その磁場中基底状態相図をほぼ決定した。これは、従来考えていなかった十分大きな空間的構造の可能性(144副格子構造まで)を考慮にいれて、基底状態を定めたものである。この結果、従来考えられてきたよりも、基底状態相図ははるかに複雑であり、様々な秩序状態が存在することがわかった。磁場中では反強磁性相互作用の強い場合に実現する120度構造の近傍に、6副格子構造および12副格子構造が安定な基底状態として実現することがわかった。これらの構造は、スカラーカイラル秩序とベクトルカイラル秩序を同時に持つ状態であり、多スピン相互作用のもたらす強いフラストレーションにより引き起こされる興味深い状態である。さらに、強磁性状態の近傍には、148副格子あるいは72副格子からなる空間的に非常に大きな構造を持つ状態が見いだされた。これらの空間的に大きな磁気構造が本当に無限系の基底状態なのか、それとも有限個の副格子を仮定したために生じたものなのかは、さらに今後の検討を要する問題である。 2)5スピン、6スピンの交換を取り入れたとき、基底状態がどのように変わって行くかを、分子場近似で調べた。5スピン交換は強磁性を安定化するかなり大きな効果をもつため、基底状態相図において強磁性領域を広げ、磁場中での1/2磁化プラトーの出現領域をかなり狭めることがわかった。 3)多スピン交換のある梯子スピン系に関する研究を行い、4スピン交換のある系において、スピン自由度とカイラル自由度との双対変換を見いだした。この変換を用いると、スピン秩序状態をカイラル秩序状態に変換することができる。この性質を用いて、4スピン交換を持つ梯子スピン系の基底状態においてカイラル秩序の存在を厳密に証明することができた。また、この双対性は、スピン系ばかりでなく、電子系にたいして拡張できることを示した。 4)4面体がつながってできた1次元のS=1/2スピン系の示す特異な磁化過程において、特異な磁化プラトーがみられることを理論的に示した。
|