研究課題/領域番号 |
14540377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
深尾 浩次 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50189908)
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研究分担者 |
猿山 靖夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50162532)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | α過程 / 誘電緩和スペクトロスコピー / 高分子薄膜 / ポリメチル酸メチル / ポリイソプレン / ノーマルモード / エイジング / メモリー効果 / 誘電スペクトル / 拘束誘起過程 |
研究概要 |
平成14年度は、cis-1,4-ポリイソプレン(PIP)薄膜のダイナミクスを誘電緩和スペクトロスコピー法により調べた。PIPでは、ノーマルモードとα過程の両方を観測することが可能である。本研究では膜厚の低下とともにα過程は変化が見られないが、ノーマルモードはより速いダイナミクスへと共存状態を経て変化することを明らかにした。このことは薄膜内では有効的な分子鎖長が元の分子鎖長よりも短い領域が存在し、その領域の誘電緩和への寄与が薄膜になるほど大きくなることにより、ノーマルモードがより速いダイナミクスへクロスオーバーすることを示している。平成15年度はガラス転移温度Tg以上でのα過程、ノーマルモードから、Tg以下でのダイナミクスへの高分子鎖ダイナミクスのクロスオーバー機構を明らかにすることを目的として、ガラス状態でのエイジングによる緩和ダイナミクスを調べた。対象としたのはガラス状態でのエイジングの存在が知られているポリメタクリル酸メチル(PMMA)である。本研究ではTg以上の平衡状態からTg以下の非平衡状態へクエンチした後のガラス状態でのエイジングのダイナミクスを誘電緩和法により追跡した。一定温度下でのアニーリング過程において、種々の膜厚に対する測定により、膜厚の低下とともにエイジングのダイナミクスが速くなり、また、緩和強度は小さくなることが明らかとなった。さらに、ある温度T_1でのエイジング過程の途中でΔTだけ異なる温度で一定時間エイジングさせた後に再び元の温度T_1に戻してエイジングを続ける温度サイクルにおいて、エイジングのダイナミクスを調べた。この場合はスピングラス系でみられるような顕著なメモリー効果、若返り効果が観測され、これらの効果が膜厚に依存して変化することが観測された。拘束下でのガラス転移ダイナミクスを議論する上で、このようなガラス状態でのエイジングダイナミクスおよびその膜厚依存性は重要であり、本研究結果を精査し、発展させることが急務であると考えられる。
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