配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
本研究の主たる目的は,乱流における混合のダイナミックスの理解とその統計的性質の定量的な記述である。流れの中でパッシブに流される物体の挙動を理解するために,もっとも基本的な幾何形状をもつ流体線と流体面を取り上げた。まず,一様定常乱流中で,これらがどのように変形されどのような割合で伸びていくかを直接数値シミュレーション可視解析によって調べた。その結果,乱流中の流体線の長さと流体面の面積は時間の指数関数で増加すること,そしてその伸長率の正確な値は,従来から伝統的に用いられてきた線要素や面要素によってではなく,流体線や流体面の運動を正直に解いてはじめて得られるものであることを理論的に示した。つぎに,流体線の強い伸長が乱流のどのような運動形態によってもたらされるかを流体線と流れ場の同時可視解析により明らかにした。すなわち,乱流中には細長い管状の領域に渦度が集中したいわゆる渦管が散在しているが,それらはしばしば渦度が互いに逆向きになるように接近する傾向があること,そして流体線は反平行渦対の進行方向の前後に生起される双曲的よどみ点で強く伸長されることを見出した。さらに,流体線の伸長率のレイノルズ数依存性を調べると,伸張率は従来から考えられていたのとは異なり,コルモゴロフの相似則に従わず,レイノルズ数により強く依存してレイノルズ数とともに大きくなることを発見した。これは,伸長過程のマルコフ積的特性によるもので,引き伸ばされた流体線の空間分布,特に流体線の折りたたみの度合い,の非一様性がレイノルズ数とともに増大することによるものである。乱流中のパッシブ物体の指数関数的伸長率の正確な値ならびにそのレイノルズ数依存性は,乱流自体の力学的特性の理解に重要であるとともに乱流モデルのモデル定数の決定などにも有用である。
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