研究概要 |
最近起こった地震については場所を選ばず,できるだけ準リアルタイムで解析していった.過去の地震については,今回は特に北海道,千島,パプアニューギニア,アリューシャンで起こった地震について解析した.1980年代以前についてはWWSSNの記録しかないのでそれらを掘り起こし解析を行った。地震計の特性としては現在の広帯域地震計に比べ帯域が狭いが、現在の解析と比較することができる十分な結果を得ることができた。その結果,千島弧ではたびたびM7を超える巨大地震が起きており、ほぼ30年の間を置いて同じアスペリティが破壊していたらしいこと,パプアニューギニアでは横ずれ地震の背後に隠れていた正断層地震が津波を引き起こしていた可能性があることなどがわかった。北海道太平洋側地域についてはM7以上の地震すべての解析を行った。その結果、北海道のプレート境界地震について、プレートの形状(または位置)とアスペリティのサイズに相関があることがわかってきた。またこれまで余震分布から千島弧では大地震が埋め尽くすように起こっていると考えられていたが、アスペリティは離散的に存在していて、余震など小地震が起きやすい地域がその間に存在しているらしいこともわかってきた。また2003年に起きた十勝沖地震は1952年十勝沖地震のアスペリティ(の1つ)と合致することがわかった。このことから2003年十勝沖地震は1952年の再来地震であることが言えた。内陸の活断層についての解析も行った。2001年11月14日の崑崙地震では全長400kmに及ぶ地震断層が現れた。観察された断層は大きく4つのセグメントからなり、すべり量は極端に不均一であった。この断層すべりは地震波解析によって得られたモーメント解放分布と良い一致を示した。同様のことが、2002年11月4日のアラスカ・デナリ地震でも示された。
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