研究概要 |
速度・状態依存摩擦構成則を仮定し,二つのブロックをバネで連結し,ドライバーをゆっくり動かしていくモデルを使った数値実験を行い,プレート境界で見られる多様なすべりモードの棲み分けが摩擦パラメータによって規定されており,パラメータ空間上で4つのregimeに分類できることを示した.kはシステムのばね定数,k_cは摩擦パラメータで決まる臨界ばね定数,regime1〜3ではa-b<0とする.regime1:k>k_cでありアスペリティとして振る舞う.自ら動的破壊に移行するポテンシャルを有しており,動的破壊の前にプレスリップが生ずる.regime2:k<k_cであるが,安定・不安定境界に近い.隣りのブロックが動的破壊を起こすとトリガーされて店力降下を伴う動的すべりを起こす.その後固着しているが,応力があるレベルまで蓄積すると,定常値の周りですべり速度や応力が振動を始め,やがて定常状態へ収束していく.このような間欠的な非地震性すべりが,東海地域で検出されている準静的すべりに対応しているかもしれない.regime3:kがk_cに比べ充分小さい.regime2と本質的には同様の振舞いをするが,振動することなく定常状態にスムーズに収束する.regime4:a-b>0であり,固着ステージがない.隣りのブロックの動的すべりにより急激に応力荷重がなされ,その応力を緩和しながら余効すべりを起こす.相互作用が強い場合,隣りのブロックがすべるとつられて動的すべりを起こすこともある. また,大型剪断試験機を用いた室内実験で,a-b>0の領域で余効すべりが起こることを実証するとともに,適当な摩擦パラメータを仮定することによりふたつのブロックモデルで,室内実験でみられた挙動を定量的に再現できることも示した.
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