研究課題
基盤研究(C)
第四紀の氷床変動はマントル・外核・内核の差分回転を引き起こし種々の興味深い地学現象と関係していると考えられている。例えば、氷床変動と地球磁場変動の関係などが考えられるが、どのようにリンクしているかはこの現象に伴う差分回転を定量的に見積もる必要がある。本研究においては、この現象を定量的に評価した。マントルを粘弾性体、外核をinviscid、内核を粘弾性体とし、種々のラブ数を評価し、CMBとICB境界において電磁結合を仮定して、外核と内核の差分回転を評価した。電磁結合においては、ICB域でのポロイダル磁場の強度が重要であることを確かめ、あるパラメータ範囲(粘性率やICB域でのポロイダル磁場の強度)では外核の西方移動や内核のスーパーローテーションが本モデルで説明できることを明らかにした。これらの結果のいくつかは国際誌に掲載され、いくつかは現在投稿中である。本研究の主な結果は以下である。(1)氷床融解に伴う極移動は670km密度不連続面の変形モードとリソスフェアの粘性率に強く依存することを明らかにした。リソスフェアの粘性率に依存することは、潮汐ラブ数に強く依存することを意味している。(2)両核の差分回転は、下部マントルの粘性率と核境界の電磁結合に敏感である。電磁結合が働かない場合は、内核と外核の差分回転は、それぞれ〜2°/年と〜1°/年となる。外核に関する計算値は、西方移動から推定されている外核の差分回転に比べ非常に大きな値である。(3)表面のポロイダル磁場を下方接続して求めた電磁結合を用いると、有為な差分回転は得られない。ただし、急激な氷床の融解(〜200年で〜25mの海面上昇)においては、応答が弾性的になり有為な差分回転が得られる。(4)第四紀の氷床変動は十分に外核のダイナモ作用に影響を与える可能性がある。つまり、気候変動は磁場変動に影響を与える可能性が示唆される。
すべて 2005 2004 2003 2002 その他
すべて 雑誌論文 (23件) 文献書誌 (5件)
Quaternary Science Reviews (印刷中)
Earth, Planets and Space (印刷中)
10017467548
Quaternary Science Reviews (in press)
Earth, Planets and Space (in press)
Physics of the Earth and Planetary Interiors 146
ページ: 163-177
Physics of the Earth Planetary Interiors 146
Geophysical Journal International 152
ページ: 124-138
Quaternary Science Reviews 22
ページ: 309-318
ページ: 891-897
Physics of the Earth and Planetary Interiors 138
ページ: 289-315
Ice Sheets, Sea Level and the Dynamic Earth (Geodynamics Research Series, AGU Monograph) (eds. J.X. Mitrovica and L.L.A. Vermeersen) 29
ページ: 177-185
Earth and Planetary Science Letters 200
ページ: 159-166
Tectonophysics 351
ページ: 263-283
Ice Sheets, Sea Level and the Dynamic Earth(Geodynamics Research Series, AGU Monograph)(eds.J.X.Mitrovica, L.L.A.Vermeersen)