研究概要 |
本研究は,海域での地震観測を推進するために,無人島を含む離島で使用できる準リアルタイム地震観測システムを構築するものである.システムは,既存のテレメータ地震観測網のシステムに連動して,テレメータ観測網で観測された地震の離島観測点での観測データを準リアルタイムで自動的に吸い上げるものであり,離島観測点で用いる地震観測装置および既存デレメータシステムと連動し観測点を制御するソフトを開発・作成した.本システムでの観測点と親局との通信手段は,無入島でも使用可能となるように衛星携帯電話である(地上波携帯電話,一般回線も使用可).地震観測装置は,連続観測データをバッファリングしておき,定期的に親局から送られてくる波形切り出し命令に従って連続データから切り出しデータを作成し,それを親局に伝送するものである.電源は太陽電池とバッテリーの組み合わせであり,衛星携帯電話は親局から設定される通信時間のみ通電するなどの省エネルギー化を図っている.また,保守が困難な場所での観測に対応できるように,電源電圧が規定レベル以下になった時には機器への電源供給を最小限にし,電圧が回復した後に機器が自動的に再起動するような自己回復機能を持たせて,仮に欠測が増えたとしても保守力が少なくて済むようにしている.親局側の制御ソフトは既存テレメータ観測網のトリガ情報に基づいて波形切り取り命令を作成し,定期的に子局(観測点)と通信を行って観測データを吸い上げるものである.システムの試験観測は,2003年11月から,トカラ列島南端の無人島である横当島で実施した.冬期の長期日照不足で欠測期間があったものの,自己回復機能により日照時間増加後に機器は再起動し,それ以降は順調に稼動している.この試験観測によって,本システムはほぼ実用的レベルに達していることが確かめられた.
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