研究分担者 |
許 華杞 台湾・大漢技術学院大学, 防災研究中心, 教授
飯塚 進 東海大学, 海洋学部, 教授 (40055918)
岩下 篤 九州東海大学, 工学部, 教授 (40266383)
HWA-CHU Sheu DAHAN Institute of Technology, The Research Center for Disaster Prevention, Professor
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研究概要 |
本研究では,1999年以降から東海大学が独自に展開した南西諸島南部地域地震観測網で得られた地震データに,JMAとCWBの地震データを合わせ,台湾東部海岸から石垣島付近に至る海域の震源決定を再度行い,台湾付近で複雑に潜り込んでいるフィリピン海プレートの地震発生様式から観た考察を行った.地震観測は,台湾の大漢技術学院と共同で実施し,現在も継続中である.東海大学,JMA,そしてCWBでそれぞれ決められた震源位置は,系統的にズレが生じ,特に深さにおいては約50kmも差が生じているため,正確なフィリピン海プレートで発生する地震の傾向が分からないと考えられる.これらの結果,地震発生分布から観た北緯25°東経124°付近の沖縄トラフ直下のフィリピン海プレートスラブ上面の深さは約70km,北緯25°東経121.5°付近の台湾宜蘭直下の深さは,約110kmであることが分かった. 2004年3月,東海大学は大漢技術学院と共同で,台湾東海岸花東縦谷北端付近の地下速度構造を明らかにする目的で,地下構造調査をおこなった.調査方法は,採石発破を利用した屈折法地震探査である.今回の観測では,約47kmの測線に15点の臨時観測点を設けた.測線の北端Aと南端Bの2箇所では,100〜500kgのダイナマイトによる採石発破が定期的に実施されているが,今回はそれぞれ約100kgのダイナマイトが発破された.A・Bの発破点からの地震動は,それぞれ約20km離れた観測点まで地震波が確認された.見かけ速度は約4km/secと比較的早い.今回は100kgによる2発の発破しか観測する機会がなかったが,この地域では大理石の産地であるため定期的に採石が実施されており,今後更にデータを補充する予定である. また,花東縦谷北部海岸山脈付近「賀田山」「月眉」「山興」の活断層調査を実施した.これらの活断層は今後の花東縦谷の活動に大きく関与し,大きな変動が予測される断層である,現在,東海大学と大漢技術学院では,この地域に地震観測・地殻変動観測・リモートセンシング・地下構造探査という地球物理学的調査を継続実施しており,これらの観測から得られたデータを総合解析することにより,当該地域の地殻変動を今後も定量的に把握することを目指している.
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