研究概要 |
3次元空間Ω内に分布する地質体は,面によって2分割された部分空間の共通集合の和集合の形式で表現できる。この地質体と面の関係を「地質構造の論理モデル」といい,面の具体的形状を与えると,空間内の各点に地質体を対応づける関数(地質関数)が矛盾無く定義できて,地質体の空間分布すなわち「3次元地質モデル」が定まる。本研究では位相数学の基礎概念(近傍や閉包)を導入して,3次元地質モデルを構成する地質境界線や地質境界面などの図形要素を抽出するための基礎理論とアルゴリズムを開発した。主な研究成果は次の通りである。 1.地質構造の論理モデルでは領域の直和分割となるように地質体の分布域が表現されることを利用して,それら各地質体の閉包(境界点を追加したもの)の共通部分として地層境界線や地層境界面を数学表現した。 2.地質体の閉包の共通部分として定義される地質境界面は,GISのマスク機能を活用してラスター画像で表示できることを実証した。 3.空間内の各点にその点の直上・直下にある地質体の対を対応づける関数(拡張地質関数)を新たに定義した。この関数により空間内の点が地質体内部の点であるか,地質境界面上の点であるかを判別できるので,地質体の分布を色分けするだけであった地質図作成プログラムに地質境界線を描く機能を追加した。 4.空間内の任意の点に対して,その近傍にある地質体の組を対応づける関数(近傍関数)を新たに定義した。この関数を活用して,格子データ(DEM)で与えられた面上に現れる地質境界線を線分の集まりとして抽出し,GISやCADシステムに入力可能な形式で提供するアルゴリズムを開発した。
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