配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
過去の地下深部の条件を直接知ることはできないが,そこで形成された岩石を記述することで間接的に地下深部の情報を得ることができる.岩石を構成する鉱物の種類や化学組成,その不均質などの情報は地下深部の主に温度や圧力という熱力学的状態量を反映するのに対し,鉱物の粒径は熱活性化過程に支配される現象の速度論的な情報を与える.しかし,この両者は独立でなく,等しく造岩鉱物の挙動の異なる側面を示している.従って,これらを独立に記述するのではなく,総括的に記述し,議論することが重要である. 本研究では,時代や深さの異なる複数の変成帯を対象として、熱力学的状態量や運動学的変数を決定するための解析に取り組んだ.従来ではこの2側面を岩石学と構造地質学という異なる分野で担当してきたが,本研究ではこれらの境界領域を一つの素過程の進行という視点から取り組んできた.変成皮応という1つの現象を律速する要因の1つの可能性として構成鉱物の粒径に着目したが,鉱物の形態やもっと広域の応力場も重要な要因であることを具体的に示すことができた.具体的には,代表的な低圧高温型である山口県柳井地域の領家変成岩類や東南極リュッツホルム岩体,スコットランドダルラディア変成帯で以下のことが明らかになった. ・変成相がさらに高温のグラニュライト相に達すること. ・圧力推定の新手法の開発と低圧変成帯の精密な温度圧力決定. ・温度圧力履歴解析の新手法(ギブス法)の低圧変成帯への応用と問題点. ・鉱物共生に与える微量成分の効果. ・地殻の部分融解でのB(ボロン)の挙動. ・低圧変成作用の数値計算と記載岩石学的情報の非整合性. ・高温変成岩への地質温度計適用の限界. ・リュッツホルム岩体の広域変形履歴. ・流動変形する岩石中での鉱物の非等方的成長.
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