研究課題/領域番号 |
14540452
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
前川 寛和 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (50173696)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 蛇紋岩 / かんらん岩 / 高序変成帯 / トレモラ閃石 / 交代作用 / 泥質片岩 / マリアナ / 蛇紋岩海山 / 高圧変成帯 |
研究概要 |
過去のプレート沈み込み帯で形成されると考えられている高圧変成帯には、Mgに富むCa角閃石の集合物(=トレモラ閃石岩)が、泥質片岩中にレンズ状あるいは層状に分布することが知られている。トレモラ閃石岩は、しばしば蛇紋岩体近傍に産出するため、蛇紋岩が交代作用を受けて生じたものと考えられてきたが、その重要性が指摘されたことはなく、我が国では積極的に研究されその意義が検討されたことはなかった。本研究では、三波川帯のトレモラ閃石岩の産状と化学組成を検討し、(1)トレモラ閃石岩が泥質片岩中で蛇紋岩と密接に産すること、(2)蛇紋岩と泥質片岩の境界部では蛇紋岩側から、滑石帯→トレモラ閃石帯→緑泥石帯→泥質片岩と変化する反応帯が認められることがある。(3)トレモラ閃石岩は、Ni、Crに富み、Zr、Thに乏しいという特徴をもち、蛇紋岩が原岩であること、の2点を明らかにした。 沈み込み帯では、沈み込むプレートの上載堆積物からウエッジマントルに水が供給されることで、かんらん岩の蛇紋岩化が進んでいる。三波川帯では、蛇紋岩類は比較的まれで、かつその分布は変成度の高い泥質片岩中に限られている。そのことは、蛇紋岩類が付加体の高温部に位置するウエッジマントルから泥質堆積物内に取り込まれたことを示唆している。三波川変成帯の蛇紋岩と泥質片岩の境界部において交代作用により形成されるトレモラ閃石岩の存在から、沈み込み帯境界部でも同様の反応が発生し、トレモライト岩が形成されている可能性を示唆している。一方、ODP第125次航海において、マリアナ前孤コニカル海山の掘削孔779Bから雲母と緑泥石からなる岩片(01R-06,19-22)が発見された。この岩片は、超塩基性の組成をもつが、ZrやThなどの不適合元素に富み、NiやCrなどの適合元素に乏しく、三波川帯で発達する反応帯の1つである緑泥石帯に対比しうる。また、ODP第195次航海で南チャモロ海山から回収された多数のトレモラ閃石岩片は、トレモラ閃石帯の鉱物組み合わせに一致する。本研究では、三波川帯での検討に加え、これら現行沈み込み帯の交代岩類の解析を行うことで、マントルウエッジを占める蛇紋岩化したカンラン岩と沈み込む海洋地殻プレートとの境界部で交代作用が広域的に発生している可能性が高いことを突き止め、トレモラ閃石岩の力学的・物理化学的性質を理解することが、プレート境界部の現象を理解する上で極めて重要であることを示した。
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