研究課題/領域番号 |
14540496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70230133)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 中性ラジカル / 開殻分子 / 奇交互炭化水素 / フェナレニル / スピン分極 / スピン密度 / 機能性材料 / トポロジー |
研究概要 |
新たなスピン非局在型安定中性ラジカルの開発を目的に、フェナレニル骨格を基盤としたオキソフェナレノキシルを分子設計した。このオキソフェナレノキシル系では、二つの酸素原子の位置すなわちトポロジーが異なる異性体を設計することができる。3-,4-,および6-オキソフェナレノキシルの3種類の中性モノラジカルのスピン密度分布を密度汎関数法により計算したところ、トポロジーの違いに応じてスピンの非局在化の程度が大きく異なることが分かった。さらに、分子の局所的な反芳香族性・芳香族性を見積もる計算手法(NICS法)や共鳴構造式による考察を基に、オキソフェナレノキシル類の各六員環系における局所的芳香族性とスピン構造との関連を調べた。その結果、スピンは芳香族性を示す六員環上を避けて分布する傾向があることが分かった。また、これらトポロジー異性体の中でこれまでに合成に成功していなかった4-オキソフェナレノキシル誘導体(トリ-tert-ブチル置換体)の合成に成功した。この中性ラジカルは、固体状態で6-オキソフェナレノキシル誘導体と同程度の安定性を有し、空気中で単離することができた。各種ESRスペクトルの測定から、^1H核の超微細結合定数を決定し、実験的にスピン密度分布やその非局在性を明らかにした。また、X線結晶構造解析および磁化率の測定に成功し、結晶構造と分子間相互作用の相関について考察した。高スピン分子におけるトポロジーの重要性については、これまで多くの議論が為されてきたが、モノラジカル系にトポロジーの概念を拡張したのはこれが初めての研究例である。
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