研究概要 |
本研究では,供与型白金-金属結合を用いて核数の大きなクラスター錯体を合成することを目的としている。[Rh_2(CF_3COO)_4],をアクセプターとし[Pt(phpy)_2],[Pt(thpy)_2],[Pt(bpy)Me_2](Hphpy=phenylpyridine,Hthpy=thienylpyridine, bpy=bipyridine)をドナーとし錯体の合成を行った。[Pt(phpy)_2]や,[Pt(bpy)Me_2]を用いた場合,Rh複核錯体に両側から白金錯体が配位した[{Pt(phpy)_2}_2{Rh_2(CF_3COO)_4}]が得られた。Pt-Rh距離は2.818(1)Åであり比較的強い結合が形成されたことを示している。また,Rh-Rh距離は2.442(1)Åと若干長く,これはPt配位によるtrans影響と考えられ,PtがRhに強く配位していることを示している。[Pt(thpy)_2],を用いた場合も同様な四核錯体が形成されたが,この四核錯体がさらにthpy部分のSを通して[Rh_2(CF_3COO)_4]を架橋し一次元鎖を形成した錯体であった。また,新たにビフェニル誘導体-白金錯体,[Pt(dbbp)(L)](H_2dbbp=di-tert-butylbiphenyl, L=bpy or en),を用いて,これを銀イオンに配位させることにより新規クラスター錯体の合成も試みた。これまでAg^+をアクセプターとした場合,配位性の対陰イオンを用いない限り菱形骨格を有するPt_2Ag_2型の錯体が得られなかったのに対して,[Pt(dbbp)(L)],を用いてた場合,非(弱)配位性のClO^<4->,BF_4^-を対陰イオンとした場合にも菱形Pt_2Ag_2錯体が得られた。これはビフェニル誘導体上のCがAg^+に配位することにょりAg_2骨格を安定化しているためであると考えられた。実際にかさ高く立体的に配位不可能な対陰イオンであるSbF_6^-の場合,dbbp錯体を用いても直鎖錯体が得られこの考察を指示している。
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