研究課題/領域番号 |
14540539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 兵庫県立大学 (2004) 姫路工業大学 (2002-2003) |
研究代表者 |
山田 順一 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教授 (90191311)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 有機超伝導体 / 分子間相互作用 / 有機分子性伝導体 / 安定な金属状態 / 化学修飾 / 電子相関 / サイクロトロン有効質量 / 反強磁陸超伝導体 / 反強磁性超伝導体 / 反強磁性金属 / π-d相互作用 / HOMO / 結晶構造 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / 有効質量 / シューブニコフ-ド・ハース振動 / 磁気抵抗 / 磁場誘起超伝導体 / 化学修飾法 / 有機伝導体 / ハイブリッド / 電荷移動物質 / フェルミ面 / 磁性アニオン / 反強磁性体 / フランス |
研究概要 |
有機分子性伝導体の伝導性を担うπ電子は、有機分子に強く束縛されており、わずかな分子軌道の重なり(重なり積分)を通って結晶内を移動することができる。重なり積分の異方性によって低次元的な電子構造が形成され、その結果、超伝導相、金属相、絶縁(半導体)相等の多彩な電子相とそれらの競合が現れる。この重なり積分は、構成分子の配列・配向および化学的修飾や比較的小さな圧力によって制御できるため、様々な電子物性の発現が可能となる。有機分子性伝導体には、このような特徴があるにもかかわらず、そのドナー成分には主にTTF系ドナーが用いられてきた。これは、他のドナー系では金属的な分子性物質を供給することはできても、超伝導性の発現までには至っていないことに起因する。従って、π電子が振る舞う新たな場としてのドナー系には超伝導性の達成が要求される。 本研究では、TTFユニットとは異なるBDYユニットから成る新しいドナー系の合成研究を行った。その結果、安定な金属状態を発現できるBDH-TTPに分子間相互作用の減少を意図した化学修飾を施してBDA-TTPの合成を達成し、一連のBDA-TTP系超伝導体の開発に成功した。さらに、(i)超伝導体(BDA-TTP)_2SbF_6には電子相関が強い(サイクロトロン有効質量の値がTTF系超伝導体の約二倍)という特徴があり、(ii)反強磁性超伝導体(BDA-TTP)_2FeCl_4は、磁場誘起超伝導現象が見出されたBETS系超伝導体と同様に、高磁場をかけると磁気抵抗の急激な減少を示すことを明らかにした。一方、π系としてTTFほど拡張されていないDTユニットから成り、かつ嵩高い置換基(シスで縮環したジオキサン)を有するDODHTからも超伝導体が得られることを見出した。DODHT系超伝導体の特徴は、圧力下で様々な電子相(絶縁相、金属相、超伝導相等)を示すことである。
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