研究課題
基盤研究(C)
クロロフィル分子の合成・分解等多くの過程で水溶性のクロロフィル結合タンパク質の関与が予言されていながら、そのような研究は進んでいない。なかでも光変換性水溶性クロロフィルタンパク質(WSCP)の機能に関する研究は、最近までほとんど放置されたままであった。本研究では、シロザより得られるWSCPの生理学的な機能を分子生物学的手法により解明する事を目的とした。シロザよりWSCPを精製しそのアミノ酸配列を決定後RACE法を行なって完全長のcDNAを得た。解析の結果、N末端シグナル配列に引き続き169残基をコードするORFが存在した。またC末端の22残基が翻訳後切断除去される事が示された。相同性検索の結果、シロイヌナズナのAt2g03350、AAM62896.1との相同性を示した。PFAM解析の結果、このタンパク質は植物界に広く存在しているDUF538ファミリーに属していた。次に大腸菌中における大量発現を試みたところ、そのほとんどが不溶性面分に分画された。不溶性画分のWSCPを尿素により可溶化して精製した。これのrefolding条件を検討したところ、クロロフィルとの結合性および光変換活性をわずかに示す条件を見い出した。不溶性画分を抗原とし、抗体を作製した。得られた抗体を用いて、CP668の葉・茎・根の各器官における局在を調べたところ、クロロフィルの分布と一致し、葉・茎には存在したが、根には存在しなかった。また、細胞内局在を調べたところ、ミトコンドリア・小胞体・液胞画分には多くのCP668が検出された。一方、葉緑体中での局在を調べたところストロマ画分には検出されなかったが、チラコイド膜画分からCP668が検出された。CP668の植物内での機能を調べるためtransgenic Arabidopsisを作製した。その表現型の大まかな特徴としてreproductive phaseへの移行が大幅に遅延し、種子の形成も大幅に抑制された。全体的な植物の色調はwild typeと比較してより濃緑色となった。この過剰発現株は不完全不棯性を示したが、稔性および成長速度が極めて低い点以外には目立った形態的な変異は示していない。
すべて 2005 2004 2003 2002 その他
すべて 雑誌論文 (11件) 文献書誌 (3件)
Medical Technology 33(4)
ページ: 414-417
Plant Physiology 134
ページ: 1-11
Biochemistry 42
ページ: 7427-7433
Acta Crystallographica Section D D59
ページ: 2283-2285
Acta Crystallographica Section D 59
J. Plant Physiol. 159
ページ: 325-327
Leukimia 16
ページ: 1167-1175
J.Plant Physiol. 159(3)