研究分担者 |
大橋 眞 (大橋 真) 徳島大学, 総合科学部, 教授 (40128369)
真壁 和裕 (真壁 和祐) 徳島大学, 総合科学部, 教授 (60222288)
渡部 稔 徳島大学, 総合科学部, 准教授 (60338952)
佐藤 高則 徳島大学, 総合科学部, 准教授 (30276026)
松尾 義則 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (80219401)
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研究概要 |
中国大陸の沿岸に広く棲息するアオゴカイ(Perinereis aibuhitensis)と同様に深海3,000m付近の熱水噴出口付近に棲息するハオリムシは分子質量約3,500kDaに達する巨大なヘモグロビン(Hb)を有している。ハオリムシHbほ酸素分子に加えて猛毒の硫化水素を運搬して共生する細菌に届ける。アオゴカイHbには硫化水素運搬の機能はない。この違いを双方の超分子の分子構造を詳細に調べ、硫化水素運搬への適応性とHbの構造の相関を検証することが本研究の目的である。硫黄細菌が硫化水素を利用して化学合成を行い、ハオリムシに栄養物質を提供するので,ハオリムシは一切エサを摂らず,口や肛門さえも退化している。 結果:アオゴカイHbは4種類のグロビン鎖(a,A,b,B)と2種類の非ヘム鎖(L1,L2)計約180本から構成されているが、4種類のグロビン鎖と非ヘム鎖L2のア.ミンの酸配列をタンパク質とmRNAを素材にシグルナルペプチドも含めて決定した。また、グロビン鎖間に架橋されている6つのSS結合サイトを確認し、フリーのSH基がないことを明らかにした。一方ハオリムシHbにはフリーのSH基がある。この違いが硫化水素運搬能と深く関わると結論づけた。さらに、巨大Hbのグロビン鎖の系統樹を描き、ハオリムシHbのグロゼン鎖に含まれるCys残基の位置特性を浮き彫りにした。一方で、グロビン鎖の12量体と非グロビン鎖を単離し、非グロビン鎖の役割を明らかにした。非グロビン鎖はグロビン12量体を12個つなぎ合わせて、3,500kDaに達する超分子を形成する特異な活性をもつことが示された。
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