研究課題/領域番号 |
14540632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
泉 進 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (10145659)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 昆虫 / 外皮 / 硬化 / フェノール酸化酵素 / ラッカーゼ / カイコ / cDNA / 発現 / 構造解析 / 表皮細胞 / 精製 |
研究概要 |
昆虫の体表を被う外皮は、外骨格として昆虫の形態を維持するという役割を果たしている。昆虫は脱皮することにより成長するが、外皮は脱皮直後にラッカーゼ型フェノール酸化酵素(以下ラッカーゼ)が触媒する皮なめし作用により硬化する。本研究では昆虫の外皮硬化機構を解明することを目的として、カイコのラッカーゼを精製し、さらにmRNAの塩基配列をクローニングしてラッカーゼの構造ならびに発現について解析した。 蛹化直後のカイコ蛹外皮からトリプシン処理により活性型ラッカーゼを溶出し、それをゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィーにより単一タンパク質に精製した。活性型ラッカーゼの分子量は275kで分子量70kの同一サブユニット4本から構成されていることが明らかとなった。さらに抗ラッカーゼ抗体を作成し、イムノブロット解析を行った。その結果、ラッカーゼは外皮中に前駆体の形で存在し、蛹化に伴いその蓄積量が増加することが判明した。 次に精製したラッカーゼの部分アミノ酸配列を決定し、これを判断材料としてmRNAの塩基配列をクローニングした。mRNAの構造解析の結果から、カイコラッカーゼ前駆体のサブユニットは分子量約840kで147番目のアミノ酸の後ろで切断され、活性型ラッカーゼを生ずると推定された。ラッカーゼの一次構造中には植物やカビのラッカーゼと共通した構造も検出された。この構造は酵素の活性中心を構成するものと考えられる。またラッカーゼmRNAは蛹化の約48時間前に表皮細胞中に蓄積し始め、24時間前にその量が最大となることが判明した。 以上の結果は昆虫外皮の硬化機構に関する新知見である。
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