研究概要 |
(1)分類 日本海産アオリイカから1種(Dicyema koshidai)、土佐湾産スナダコから3種(Dicyema irinoense, Dicyema tosaense, Dicyema sphaerocephalum)、瀬戸内海産イイダコから3種(Dicyema akashiense, Dicyema awajiense, Dicyema helocephalum)、土佐湾産ヨツメダコから2種(Dicyemas balanocephalum, Dicyema leiocephalum)およびの沖縄産コブシメから1種(Dicyemennea ryukyuense)、10新種を発見し記載した。 (2)系統と進化 ニハイチュウ類の系統と進化について、次のことを明らかにした。1)ニハイチュウの極帽形態が宿主の頭足類間で収斂していることが示唆された。2)ニハイチュウの生活史戦略を明らかにした。3)2科6属のニハイチュウ類の滴虫型幼生の細胞数と細胞構成を明らかにした。3)頭足類の腎臓の構造とニハイチュウ類の寄生状況を比較検討した。4)ニハイチュウと頭足類との関係(宿主特異性や共進化)を明らかにする前段階として、まずミトコンドリア遺伝子(16S rRNA,12S rRNA,COI)を用いて日本沿岸産の頭足類33種の系統関係を明らかにした。ニハイチュウの系統関係に関しては、現在までにアオリイカ、マダコ、イイダコ、アマダコ、スナダコ、コウイカ、カミナリイカ、シリヤケイカに寄生する16種のニハイチュウについて、ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列を明らかにした。現段階で、ニハイチュウ類の系統に関しては、同じ宿主の頭足類にみられる種どうしは、異なる宿主の間の種よりも近縁であり、ニハイチュウ類は頭足類と共進化してきたことが示唆された。
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