研究概要 |
平成14年度は従来の研究を文献的に整理し、潜水探査機を用いた生物採集を実際に行うと共に、研究材料となる標本の収集を行った。特に、インド洋ロドリゲス三重合点に関しては、本申請と同時に別途共同調査を申請していた潜航調査に、平成14年1〜3月に申請者も参加できた。平成15年度は1989年に新科として発表したヤドリゴカイ科Nautiliniellidaeに関連して、日本海溝に生息するNautiliniella calyptogenicolaとよく似た、大西洋産種が新種であることがわかり、米国の雑誌に発表した。平成16年7月5日から9日にかけてスペインマドリッドで開催された第8回国際多毛類研究者会議において、シボグリヌム科多毛類すなわちハオリムシ類の生態について発表し、その体系分類のあり方についても外国人研究者との共同研究を発表し、ほかの研究者との情報交換を行った。 これまでさまざまな深海調査により、採集してきた資料には、相模湾初島沖1170mで得られた、Nereis surugaense, Euclymene uncinata, Maldane cristata, Lumbrineris japonica, Eunice mucronata, Paraonides nipponicaなど既知種も多数含まれていたが、沖縄トラフ南奄西海丘で採集されたイソメ科多毛類は未記載種であることがわかり、新種として記載することとした。また、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査船「よこすか」および「しんかい6500」による南西太平洋熱水生態系の全貌解明に向けた調査が、2004年9月23日から11月24日に実施され、その採集正物の中にハオリムシ類の未記載種が含まれていることがわかり、急遽記載の準備を進めている。採集されたハオリムシ類の一つは、Brothers Caldera (34°51.652'S,179°03.536'E;水深1604m;Oct.26,2004;Shinkai 6500 Dive 851)で得られ、今1種もBrothers Caldera (34°51.671'S,179°03.463'E;水深1598m;Oct27,2004;Shinkai 6500 Dive 852)でえられたものである。年度末ぎりぎりでの入手でもあり、最終報告には間に合わないが、米国の追随調査も予定されており、新年度には入り次第成果の発表に向かいたいと考えている。
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