研究概要 |
Kalimeris(ヨメナ)属とAster(シオン)属(狭義:以下同様)にみられるような染色体サイズの変化は,染色体の凝縮率を変化させるような突然変異が生じたことに起因しているか,もしくは染色体を構成するDNA配列の増減による要因の2つの可能性が考えられる.しかしながら,シオン属とヨメナ属を人工的に交配させた場合,ひとつの細胞中に短い染色体と長い染色体が共存することから,染色体凝縮率を変えるような遺伝的変化がおきているとは考えにくく,ゲノムサイズが変化した可能性の方が高い. 本研究では,Kalimeris属とAster属の染色体のサイズ変化に関わるDNA配列の探索に必要となる両属のゲノムDNAの比較分析を行うため,小さい染色体から構成される核型をもつKalimeris pinnatifida(ユウガギク)と大きい染色体から構成される核型をもつAster ageratoides(シロヨメナ)を材料に,まず,両種の植物体からゲノムDNAを抽出し,EcoRI、BamHIおよびSau3AIを用いた制限酵素処理による限定分解を行った.次に,得られた結果をもとに,Aster ageratoidesのゲノムDNAを最適条件で制限酵素処理し,DNA断片をライゲーションによりプラスミドに挿入して,染色体サイズの変化に関与する配列単離のための部分的なAster ageratoidesゲノムDNAライブラリーを作成した.さらに,コロニーPCRにより,100bp以上2kb以下の挿入断片をもつプラスミドを保持するE. coliコロニーをスクリーニングし,合計143のDNA断片を単離した. 現在は単離した断片のシークエンス中である.
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