研究課題/領域番号 |
14540657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類学(含生理人類学)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ヒト永久歯 / エナメル厚さ / エナメル象牙境 / マイクロCT / エナメル質厚さ |
研究概要 |
本研究ではリベン遺跡出土の永久歯標本について、上顎第一切歯・上下顎犬歯・上下顎大臼歯、合計318点の歯冠部についてマイクロCT撮影を実施し、高精度ボリュームデータを取得した。データ解析としては、主として未咬耗大臼歯標本167点について、特に近心咬頭断面上とその近傍におけるエナメル質厚さについて検討した。これにより以下の知見を得た。1)計測位置が咬頭尖から離れると象牙境尖からの最短エナメル質厚さ値が著しく過大評価される。咬合面のエナメル厚さについては、過大および過小評価の双方の推移があった。対照的に歯冠側面の最大エナメル厚さは、部位ごとに比較的安定していた。2)従来の基準線とエナメル象牙境との交点を計測位置とする歯冠側面の厚さ計測に関して、計測されたエナメル厚さが定義ごとにことなり、特に頬舌の差異の値が大幅に増減することが示された。よって基準線によらない最大厚さを評価するのが妥当との結論が得られた。3)歯冠部位間のエナメル質厚さの差異は、頬舌方向に顕著であった。下顎臼歯では頬側で厚く、上顎臼歯では舌側で厚い傾向が示され、機能的な部位間変異と解釈できる。ただし、上下の第一大臼歯では近心頬側咬頭のエナメル質が特異的に薄く、機能的勾配が上顎では強調され、下顎では軽減される傾向が認められた。4)第一から第三大臼歯のエナメル質厚さの比較では、後方へ行くほど厚さが増すのではなく、第一大臼歯近心頬側咬頭の薄いエナメル質の影響により、特に第一と第二・第三大臼歯との間に線計測厚さの相違が認められた。5)第一大臼歯近心頬側咬頭の薄いエナメル質は機能的には説明できず、エナメル象牙境の尖度もしくはエナメル形成のタイミングと関連する可能性があり、エナメル質厚さには機能適応に基づく勾配と形成メカニズムに起因する制約の双方の要因が内在することが示唆された。
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