研究概要 |
シアニン色素(3,3-,ジオクタデシル-2,2-オキサシアニン過塩素酸塩)とアルキル鎖長の異なる脂肪酸(パルミチン酸,アラキジン酸、リグノセリン酸、モンタン酸)から成る混合単分子膜の分子凝集形態を原子間力顕微鏡観察に基づき、また、吸収特性を反射分光法に基づき評価し、圧縮過程における両分子の凝集状態を検討した。シアニン色素と脂肪酸を混合して調製した単分子膜中で、J会合体が形成されることが吸収特性から確認できた。特に、(シアニン色素/パルミチン酸:50/50)混合単分子膜においては、原子間力顕微鏡で観察された特異的な帯状の形態がJ会合体の形態に対応することが示唆された。J会合体形成の有無は、脂肪酸の鎖長及び組成比に依存することが明らかとなった。パルミチン酸の場合では、組成比50/50で形成されるが、モンタン酸では組成比25/75-40/60においても、混合単分子膜中にJ会合体が形成された。シアニン色素を含んだ3成分混合単分子膜を調製することによっても、単分子膜中にJ会合体が形成されることが確認できた。しかし、本研究の目的であるJ会合体の形態制御は不十分であった。今後、更に脂肪酸種と組成比を細かく設定することにより、形態制御が可能になると期待される。
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