研究概要 |
情報化社会においてデータの機密保持の重要性が高まっていることはまぎれもない事実である.それに伴い情報フォトニクス技術を利用した光暗号化技術の研究も盛んになってきている.本研究では2,3次元の情報の光暗号化記録蓄積および圧縮伝送に関する研究を行った. 2次元情報の光暗号化に関しては,フォトリフラクティブ結晶に光メモリとして光暗号化多重記録する手法を提案した.光暗号化光学系にジョイント変換相関器光学系を採用し,当該光学系に適した光暗号化鍵の設計手法を提案した.提案した光暗号化システムを用いて,角度多重記録や光暗号化鍵多重記録の実験を行い,多重データ(フレーム画像データ)を暗号化記録できることを示した.本成果は,将来的に動画を暗号化記録・再生できる技術に発展していくものと思われる. 3次元情報の光暗号化に関しては,ディジタルホログラフィー技術を用いた3次元物体のハイブリッド光暗号化手法を提案した.実際の光学系と仮想光学系を利用して3次元物体をディジタルホログラムとして光暗号化記録する手法である.仮想光学系で用いられる光暗号化に必要な仮想位相マスクの配置の自由度が非常に大きいことが本手法の特徴である.本研究により3次元データ(立体データ)の暗号化メモリや伝送システムへの足がかりとなる成果が得られた. 暗号化ディジタルホログラムの圧縮手法としてディジタルホログラムの階調数を削減する手法を提案した.本手法はホログラムは記録強度と再生強度(透過率)に非線形性がある場合においても良好な再生画像が得られるという特徴を活かしたものである.本手法は二値画像に対して特に有効であるが,濃淡画像に対してもビットプレーン分解することにより効果があることを示した.本研究によりディジタルホログラムの圧縮が可能であることを示し,動画データのような膨大なディジタルホログラムのデータ圧縮等に貢献できるものと思われる.
|