研究概要 |
航空,宇宙機器の先端構造材料として,繊維強化金属FRM(あるいは金属系複合材料MMC)が開発され,実用化されている.本研究ではMMCの高温における破壊強度を明らかにするために,理論解析と実験により介在物のマイクロメカニックスに関する研究を行い,以下の結果を得た. 1.厚板に楕円体状介在物が存在し、上面加熱下面冷却される定常熱応力および無限体に1個の楕円体状介在物とらせん転位がある場合(完全接着と滑りを許した場合)の応力集中の干渉を弾性論に基づき厳密に解析し、応力分布,変位分布に及ぼす介在物の大きさ,形状比,横弾性係数比の影響を明らかにした. 2.楕円孔を有する半無限板の面外曲げの問題を板理論に基づいて厳密に解析する方法を示し、モーメント集中係数、き裂になった場合の応力拡大係数を求めた。 3.無限弾性体に楕円体状介在物と円環状き裂が存在し、1軸引張荷重を受ける場合を考え,解析をした。円環状き裂については厳密に解析でき応力拡大係数、き裂面の変位を明らかにした。 4.MMCの熱応力の問題として,偏平回転楕円体状介在物をもつ厚板を考え、介在物に一定勾配を有する剪断-eigen歪を与えた問題を3次元弾性理論に基づいて厳密に解析し,応力分布,変位分布に及ぼす介在物の大きさ,形状比,横弾性係数比の影響を求めた.さらに,アイソパラメトリック2次要素を用いた境界要素法により楕円介在物を有する半無限板の解析を行い,介在物の境界で摩擦を伴うすべりを許した場合の非線形問題を解析し、応力集中を明らかにした. 5.SiC粒子強化Al鋳造合金について高温破破断延性におよぼす熱サイクルの影響、静的破断機構のフラクトグラフィーによる評価を行った。また静的破断機構に及ぼす熱サイクルの影響を調べた。さらにSiC粒子強化Al鋳造合金複合材の単調および繰返し荷重下における力学特性に及ぼす熱サイクルの影響を実験および数値的な解析により研究し、強化粒子と熱サイクルおよび強化粒子と繰返し荷重の間の相互作用を明らかにした。
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