研究概要 |
アラルダイトとホマライトの平板試験片を用いて高速分岐き裂に関する実験的研究を行い、以下の結果を得た。 (1)ホマライト試験片中を秒速400m/sの高速で進展するき裂が分岐する瞬間のき裂速度と開口変位を測定し、そこから分岐の直前直後におけるエネルギー解放率を求めた。測定には高速度ホログラフィ顕微鏡法を用いた。その結果、分岐の瞬間を挟んでエネルギー解放率は連続的に増加することが判明した。 (2)ホマライト試験片中の高速進展き裂が2つに分岐する瞬間を、試験片の両面で同時に撮影した。撮影には2台のパルスホログラフィ顕微鏡光学系を用いた。その結果、高速進展き裂が分岐した直後においては、試験片の両面でき裂の形状が異なっている事が判明した。 (3)アラルダイト試験片中を秒速300m/s以上の高速で進展するき裂が2つに分岐する瞬間のき裂速度と開口変位を測定し、そこから分岐の直前直後におけるエネルギー解放率を求めた。その結果、分岐の瞬間を挟んでエネルギー解放率は連続的に増加することが判明した。 (4)アラルダイト試験片中の高速進展き裂を、試験片の両面で同時に撮影した。その結果、高速進展き裂が分岐した直後においては、試験片の両面でき裂の形状が異なっている事が判明した。 (5)動的破壊力学の実験的研究では、PMMA,ホマライト,アラルダイトの試験片が用いられているが、「分岐の瞬間を挟んでエネルギー解放率は連続であること」と「分岐が3次元的に発生すること」は、この3種類の材料中の高速進展き裂に共通して現れる特徴である。
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