研究概要 |
通常の研究室用のX線回折装置および(財)高輝度光科学研究センターのSPring-8のシンクロトロン放射光を用いて,Cu薄膜およびTiN,TiAlN薄膜の残留応力測定を行った。 第1の目的は,まず研究室用のX線装置およびシンクロトロン放射光で測定可能な膜厚の限界を調べることである。研究室用X線装置の場合Cu膜では100nm,TiN膜では800nmが限界であったが,シンクロトロン放射光を使えばCu膜で10nm,またTiN膜では100nm以下の膜の測定が可能であることがわかった。 第2の目的は,Cu膜の加熱冷却に伴う膜の内部熱応力の変化挙動を調べることである。Si基板上に膜厚の異なる膜,さらにCu膜の上にAlNの保護膜を置いた膜を作製し,試料とした。3000nmの厚さの膜の場合,保護膜のない膜の熱応力変化挙動は加熱時,冷却時ともに塑性変形による効果が大きいが,保護膜付きの場合は明瞭なヒステリシスループを描いた。さらに,100nmと80nmの膜厚の保護膜付きCu膜については,ヒステリシスのない線形な応力変化挙動を示すことが明らかにになった。
|