研究概要 |
マイクロマテリアルの機械的性質に関する研究の一環として,微小試験片の製作において表面マイクロマシニングの適用を試みた.シリコン異方性エッチングによるバルクマイクロマシニングと組み合わせ,フォトリソグラフィにより微小試験片を試作した.犠牲層エッチング,リフトオフ等の必要な技術を習得し,薄膜型微小試験片製作プロセスの検討を行った.スパッタ成膜においてArガス圧,スパッタ電力,およびターゲット距離が膜性状,成膜速度に与える影響を明らかにした.Arガス圧を制御することによりフォトレジストを犠牲層として扱えることが可能となり,犠牲層エッチング時間の大幅な短縮が可能となった. 一方,微小材料疲労試験機に用いるアクチュエータの制御系の最適化を行うとともに試験機の主要部である負荷装置,試験片装着部の設計・試作を行った.試験片の微小変位,微小荷重等の計測系を構築した. 製作した厚さ1〜3μm,つかみ部長さ最小300μmのAl薄膜試験片では,段差部分が応力集中部となり内部応力によりき裂が発生した.疲労試験を行うためには段差部分の応力集中に対する対策と共に,内部応力の制御が必要である.段差部分をなくすために改良したプロセスにより,試験片の下地となるSiO_2とAl薄膜を同じ膜厚に制御することができた.ただしSiO_2のパターニング精度を向上する必要がある. 単結晶シリコンの製造方法が機械的性質に及ぼす影響について検討した.CZ法とFZ法によりそれぞれ成長させた単結晶シリコンの比較において,曲げ試験による破壊荷重はFZシリコンの方が高いこと,また,IF法による破壊じん性値はCZシリコンの方がわずかに高いことを明らかにした.
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