研究概要 |
平成14年度は,標準的なX線応力測定法であるsin^2φ法に換わる新たな測定法として,一つのX線入射角で得られる回折環に対して複数の回折環放射方向の回折強度曲線を測定しその回折角から重回帰分析によりX線照射面積内の平面応力成分(σ_x,σ_y,τ_<xy>)を同時に算出する方法を提案した.そしてこの測定原理に基づき,16個の位置検出型比例計数管PSPCを用いて回折環放射方向の回折強度曲線を得る装置を試作を行い,応力測定精度に及ぼす影響因子について検討した結果,迅速で効率的な応力測定が行えることを確認した.また測定精度についてはσ_x,τ_<xy>についてはsin^2ψ法で得られる応力値と大きな差異はなく良好な測定精度が得られた.しかしσ_yについては他の2応力成分に比して測定精度が若干劣るという問題点を明らかにした. 平成15年度は,この問題点に対してハードおよびソフトの両面から改善することを目標に研究を遂行した.具体的には試作した位置検出型比例計数管PSPCの構造上の問題から,回折角度の決定精度向上は望めないことが判明し,新たなPSPCの試作を行った.また本方法の応力算出は,得られた16個の回折角の組合せを選定し重回帰分析により求めているが,得られた16個の回折角の組合せが応力決定精度に影響をおよぼすことが明かとなった.現在系統的な組合せを検討している.さらに応力σ_yが他の2応力成分に比して測定精度が若干劣るという問題点の最も大きな原因はシミュレーションの結果,σ_y方向のX線入射角がないのが原因であることが明かとなった. 平成16年度は従来得られた研究成果を研究発表し,本測定法の問題点を含めて総括した.
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