研究概要 |
本研究では,人による組立作業を対象とし,これまで,実際の生産ラインで行われてきた改善手法を,コンピュータマネキンを用いて構築する仮想生産ラインに反映させることで,設備計画段階で可能な限りラインの効率向上を図る手法と,それを支援するシステムを開発することを目的とする.なお,このような3次元モデルに基づく事前改善の手法を仮想改善と呼ぶ. 本研究を進めるにあたり,自動車部品組立工場にて改善事例の調査を行った.これに基づき,人による組立作業において重要な,人の動作ロスを低減する改善手法を事例にもとづき整理した.これより,動作ロスを製品や設備に関する要因から直接評価可能なロスと,人体各部の運動にもとづく数値から評価しなければならないロスに分類した.前者については,ロスを最小化するために,設備に関する変数を最適化するアルゴリズムを開発し,後者については,コンピュータマネキンを用いた動作の評価に基づく改善手法を開発し,た.したがって,仮想改善の手順は,ロス最小化アルゴリズムを用いた設備モデル生成とそれに基づくコンピュータマネキンの動作モデルの自動生成を行う初期モデル生成段階と,動作モデルに基づきロスの評価および改善を行う改善段階の2つの段階からなる. これまでに,初期モデル生成段階の支援として,小型製品の両手組立作業を対象とし,左右の手の持ち替えロスを低減するよう作業手順を自動生成するアルゴリズム,手の移動距離ロスを最小化するよう部品箱の3次元配置を決定するアルゴリズム,および,作業困難度を加味して動作モデルを自動生成するシステムを構築した.また,モデルにもとづく改善段階の支援として,上肢の姿勢にもとづき手先の作業困難度を評価する手法,および,作業困難度と視野を考慮して両手同時動作の可能性を評価する手法を開発した.
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