研究概要 |
本研究では,高齢者が技能と経験を活かし,心身ともに健康で働ける生産システムはいかにあるべきかを検討し,生産システムの構築あるいは再編において,高齢者の技能や健康状態,人員構成など時々刻々の変化にすばやく柔軟に対応するための設計評価用デジタルヒューマンモデルの開発を目的として,3年間の計画で研究を遂行した。主な成果は以下のとおりである。 1.高齢者の機能特性について,本研究で定義した身体の重心移動限界および重心余裕移動限界の測定データをもとに,デジタルヒューマンモデルによって作業姿勢の困難さを定量化できるようにし,セル生産方式における作業設計に応用した。 2.認知特性について,本研究で定義した瞬時視認視力や余裕視認視力,および注視点の測定データをもとに,さらに精度の高いモデルを構築し,実際の生産システム設計に応用する方法を提案した。また,聴覚について,音像の認識能力のモデル化を図った。 3.行動特性について,ヒトが作業環境や作業対象との間で交換する情報についてモデル化したヒューマンモデルを,生産システムに応用した。 4.技能特性について,前腕のひねり作業に着目し,その計測方法とデジタル化方法を確立するとともに,前腕ひねりの評価を可能とするモデルを構築した。また,2骨からなる前腕モデルを構築し,デジタルヒューマンモデルに組み込むための基礎を築いた。 5.立ち作業における疲労評価を目的とし,下腿部のむくみを計測する3とおりの計測法,すなわちワイヤとひずみゲージによる接触式計測法,デジカメおよび3Dイメージキャプチャによる非接触式計測法を開発した。
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