研究概要 |
強力超音波照射によるキャビテーションや直進流の特異な効果を,小形ガソリンエンジン用燃料噴射ノズルの仕上げ加工に利用する研究である。従来の方法,例えば研磨砥粒液の高圧噴射加工などに比べて,優れた特徴が見込まれたため,この試行実験を行った。その結果,10ミクロン以下の機械加工による残存バリは,ほぼ除去され流量の増加が認められた。しかし,それより大きなバリは,形状が変形するものの除去は難しかった。この研究からキャビテーションエネルギーを効果的に利用するには,加工力の発生メカニズムなどの基礎的な現象解明が重要であると考え,この課題に取組んだ。 (1)実験装置の製作 ○高強度のキャビテーションを発生させるため,振幅拡大用エクスポーネンシャル・ホーン付超音波振動子を28kHz,150Wで駆動した。不要な生成バブルを浮力により排出するため音響放射は上向きとした。 ○キャビテーション生成用の放射媒質は高脱気の水道水とし,観測水槽は,透明アクリルパイプにより製作,音場の定在波の節にバブルをトラップする構造とした。 ○バブルは,発生後成長し潰滅する過程をとる。駆動音圧に対するバブル形状,潰壊時の衝撃音圧,振る舞いなどの関係を観測する構成とした。 (2)キャビテーション・バブルの観測 ○加工作用をともなうバブル径はミクロンオーダーと微小であり,発生が間歇的,浮動が激しい。高速シャッター機能をもつCCD顕微鏡を用いて観測を行った。最大800倍に拡大したため視野が狭い上に瞬時の事象のため撮影が難しかったが,数多くの試行を繰り返すことによって一部成功した。 ○キャビテーション・バブル崩壊にともなう音響ルミネッセンスを観測した。
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