研究概要 |
アルミニウムのような成形性のよい材料でも,箔のように板厚が極端に小さくなると張出し性は低下する.本研究はこのような箔をドームのような立体的な形状に成形する方法を提案することを目的とする.その方法として,成形に必要な板面積拡大を引張りでなく,板厚方向圧縮によって達成しようとするものである.プロセスは第1工程で平板から波板を作り,第2工程で折り畳んだ提灯を伸ばすようにその波形を張出すという2段階加工である. 波板成形を機械的な手段で作製することから始めた.直径0.5mmの円筒ピンによって歯形工具を製作し,板厚20μmのアルミニウム箔を平らな工具との間で圧縮加工したところ,波板が作製できた.この波板を引張試験した結果,大きな伸び向上が得られ,マイクロ加工が可能なことがわかった. 次に,波板の作製をリソグラフィー加工によって行う方法について検討した.スピンナーでレジストを塗布し,恒温器で乾燥させ,Hg-Xeランプで露光し,その後現像,エッチング,レジスト剥離処理を行った.暗部60μm,透明部40μmの縞模様のマスクを自作し,最適な処理時間を実験により求めた.リソグラフィー加工後のアルミニウム箔の表面を光学顕微鏡観察および表面粗さ測定したところ,規則正しい溝ができていることが確認できた.このプロセスをアルミニウム箔に対し両面から行い,作製した波板の限界伸びひずみを測定した.その結果,期待に反し,非常にわずかな伸びひずみしか得られなかった.この結果から,まず第1に破断の機構を解明しなければならないという問題点が明らかとなった.
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