研究概要 |
本研究では,パラレルメカニズムの高い絶対精度を実現するために,機構の誤差特性に基づくキャリブレーションにおける測定条件の選定手法,キャリブレーションに適した変位誤差測定法,キャリブレーション効果を考慮した機構の最適設計について,理論的および実験的検討を行った.まず,パラレルメカニズムの高精度な機構キャリブレーションを実現するために,フーリエ級数を用いたキャリブレーション法における測定運動組合せ選定のための評価指標とアルゴリズムを提案し,シミュレーションによって検討を加え,その有効性が確認できた.また,本手法はキャリブレーション効果を考慮した機構の最適設計においても有効であることがシミュレーションにより確認できた.次に,パラレルメカニズム形ステージを取り上げ,変位誤差測定法がキャリブレーション後の誤差に及ぼす影響についてシミュレーションにより検討を加えた結果,1測定点における測定量が多い方がキャリブレーション後の誤差が小さいこと,測定量が絶対量である方が絶対誤差は小さいこと,1点だけでも絶対位置の測定情報を加えることで,絶対誤差が格段に向上すること,が明らかとなった.さらに,本研究で提案した手法を用いて,パラレルメカニズム形ワークテーブルのキャリブレーションを実際に行った結果,提案手法に基づいて測定運動の最適選定を行うことにより,安定した数値に同定パラメータが収束し,その結果としてキャリブレーション計算の残差およびキャリブレーション後の位置精度が大幅に向上することが確認できた.
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