研究概要 |
1.準剛体回転流を用いた分級方式では,主な分級場はスチュワートソン層である.したがって,分級精度を左右するのはスチュワートソン層の流れ特性であり,これを明らかにすることが重要である.そこで,まずスチュワートソン層流れの数値解析を行うとともに、その結果を基にした理論解析を行って,スチュワートソン層の流れ特性について考察し、以下の主な知見を得た. (1)本研究の分級実験の範囲においては,準剛体回転流の条件が満足されている. (2)境界層補正の速度成分のエクマン数Eへの依存性を調べた結果,速度成分の特異摂動展開の因子をE^<1/12>と設定することができることが分かった. (3)円板・円柱形状の回転二重容器において,理論解と数値解は定性的に一致するが、定量的に若干異なる。しかし、新たに導入したパラメータを調整することにより,理論解を数値解に近づけることができる. 2.これまでの研究では、フィード(原料粉体懸濁液)供給部において給水を行うことにより高い分級精度を得ていたが,給水量の分だけ処理量が少なくなるという問題があった.そこで,給水を行うことなく、高い分級精度を維持できる分級装置・方法について,流れ場および微粒子運動の数値計算を行って考察し、以下の主な知見を得た. (1)回転軸に近い内側にフィードと二つのファイン(細粉産物)、外側にコアース(粗粉産物)と二つのミーディアム(中間粉産物)を配するFOF-MCM型分級装置では,コアースへの微細粒子の混入を防止することができない. (2)回転軸に近い内側にフィードと二つのファイン、外側に二つのコアースと給水部を配するFOF-CWC型分級装置においては、外側に新たに二つのMediumの抽出部を設けることにより3産物分級を行うことができる. (3)考察したすべての分級装置において、分級径が大きくなると分級精度は向上する. (4)遠心効果パラメータを変えることにより、粒径範囲を自在に制御することができる.
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