研究概要 |
最近,高い機能性を有する流体として,磁性流体やER流体,MR流体などに関する実験および,理論的研究が盛んに行われてきており,複雑な流体的振る舞いをすることから,複雑流体として位置付けられ,他分野にわたる応用研究が行われてきている.しかしながら,これらの流体は,複雑で多様的な特性を有するため,実用化にちなんだ応用開発研究において,解決すべき多くの点がある.この点を踏まえて,本研究では,高機能性流体を宇宙において利用する際に,最適な応用例の一つとして,高機能性流体エネルギー変換装置の開発研究を行った.まず,磁性流体を用いたエネルギー変換装置は,既に考案されているが,流体の飽和磁化が小さいことにより,エネルギー効率がそれほど高く望めなかったという背景から,磁性流体より大きな飽和磁化をもち,かつ,MR流体より流体的な安定性が良い,磁気混合流体(MCF)を開発した.次に,高機能性流体エネルギー変換装置を宇宙で利用する際には,地上でのそれの特性と比較検討しておく必要がある.そこで,広範囲なグラスホフ数やレーリー数下で,そのエネルギー変換装置内における熱流動特性がどのように変化するかについて,数値実験を行い,宇宙で利用する際,生じるであろう熱流動特性の問題点を明らかにすることができた.また,実験においても,色々な流動様式によるエネルギー変換装置内における熱流動特性やエネルギー効率の変化について明らかにした.さらに,沸騰により気泡を含ませたエネルギー変換装置とし,気液二相流としての流動を持たせた.この熱流動特性について,理論解析と実験を行った.実験結果を理論は説明し得るものであった.以上の研究により,現段階で十分という訳ではなく,まだ多くの知見を得る必要があるが,高機能性流体エネルギー変換装置を宇宙で利用する際の様々な検討を行った結果,設計指針において重要な知見を得ることができた.
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