研究概要 |
本研究では,磁性流体を利用したエネルギー変換装置の実用化に向けて,現状の問題点を解決するための新しい試みを行った.従来,行われてきた磁性流体を利用したエネルギー変換装置において,最も大きな問題点であった磁気体積力による駆動力の低さに関して,磁性流体の機能を損なわない温度領域での沸騰を実現し,これによる駆動力の上昇効果に関する検証を行った.また,この原理を利用することで,熱一運動エネルギー変換に加えて,磁性流体に導電性ポリマーを混同することで得られる新しい流体により可能となる,熱-電気エネルギー変換においても,効率の上昇等の効果が期待できるため,これについても基礎的な検討を行った. 従来から磁性流体に気泡を混在させることによる磁気駆動力改善に関する研究はいくつか見られる.しかし,これまでは磁性流体そのものを沸騰させたり,気泡を注入したりする方法が主であり,この場合は,循環サイクルとして長期にわたっての使用が困難であった.本研究では低沸点溶液を混合した磁性流体によるエネルギー変換装置を提案し,磁性流体の特性を損なわない温度において沸騰を実現することで,従来より大きな駆動を得られるという知見を得た.また,磁性流体に混合する低沸点溶液の最適な混合率を調査し,最適な混合率はヘキサン濃度が磁性流体に対し20vol%であるという知見を得た.また,本研究で大きな駆動力を得られた結果,自己循環サイクルを構築することが実験により可能であるが確認され,従来のシステムでは見られない利点を得られることを確認した.また,磁性流体に導電性ポリマーを混入することで導電性の向上が確認され,熱一電気エネルギー変換としてMHD発電装置を構築し,基礎研究を行なった.
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