研究概要 |
本研究では,菱形角柱群流路内におけるフリップ・フロップ流れの発現メカニズムを定量的に明らかにするために,二次元粒子画像流速測定法(PIV)と二次元レーザ・ドップラー流速計(LDV)による可視化計測や浮子追跡法などによる流れの可視化実験を行った.それらの実験では,流れ方向の菱形角柱の列数を一列から最大六列まで変化させ,それぞれの管路の最終列での中央部に位置する菱形角柱に挟まれた分流領域での流速及びその変動の計測を行った.特に今年度は,流路の上流側からの乱れのフリップ・フロップ流れへの影響についてLDVを用いて流速変動を計測し,そのスペクトル特性も調べた.以下に主要な結論を箇条書きにして示す. (1)PIVを用いて分流領域内に発現する三次元的な縦渦及び渦の連結振動を流速ベクトルの変化によって示すことができた. (2)LDVを用いて第四列目のLeading edge付近において,フリップ・フロップ流れやカルマン渦列のそれぞれの振動と交差流れのせん断層の振動などが相互干渉を起こす形で重なり合う節目の点である「干渉節目点」が存在していることを明らかにすることができた.また流路断面の違いや上流側からの乱れの供給の変化に対して,菱形角柱群流路におけるフリップ・フロップ流れの振動特性を定量的に明らかにすることができた. (3)干渉節目点がエッジトーン現象の発現点となり,フリップ・フロップ流れの発現の引き金的な役割を果たすことも説明することができた.またフリップ・フロップ流れの発現メカニズムも説明することができ,交差角が30°の菱形角柱群流路内のフリップ・フロップ流れについては,カルマン渦列振動の周波数とは大きく異なるが,規則正しく,しかも安定した自励振動が発現することも明らかにすることができた.
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