研究概要 |
拡散燃焼を主体とする現在のディーゼル機関は,その燃焼形態から,窒素酸化物(NOx)とすすなどの微粒子の排出低減が難しいと考えられる.そこで,超希薄予混合気を圧縮着火することで,NOxと微粒子を同時に低減する試みがなされている.しかし,自己着火に頼るこの燃焼方式は,着火時期の制御ができないことが最大の問題である.一方パルスジェット点火は,希薄混合気の確実な点火と燃焼促進に有効な点火手法である.そこで,パルスジェットの容積的な初期燃焼が,予混合気の自己着火のトリガーとして働くことが期待できる.ここでは急速圧縮装置を利用して,n-ブタンによる予混合庄縮着火の基磁実験を行うと共に,パルスジェットによる着火時期制御の可能性を調べ,光学計測を行い,以下の結論を得た. (1)HCCI燃焼において,自己着火は燃焼室全体同時ではないが,燃焼室内のかなり広い範囲で起こり,その後燃焼室全体で燃焼が起こっていることがわかった.これは燃焼室内の混合気に温度分布があるためと考えられる. (2)パルスジェットでは,放電後1ms以内にジェットの噴出が明るい像として現れる.明るい像は少し広がるが,一旦暗くなり,再び燃焼室のかなりの場所で明るくなり,自己着火が起こっていると考えられる.よって,パルスジェットイグナイタから噴出したジェットが燃焼室内の予混合気の自己着火を誘発したと考えられる. (3)燃焼室全体からの発光を,「青色ガラスフィルタ」と「赤色ガラスフィルタ」を用いて計測した結果,パルスジェット使用時に自己着火時と同様な発光が見られることが示された.
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