| 研究概要 |
錠剤の包装材として用いられるPTP(Press-Through-Package)容器などのように,アルミニウムや銅などの非鉄金属とプラスチックからなる製品は,我々の身の回りに数多く存在する.現在,我が国において,資源の有効利用や廃棄物最終処分場の延命化の観点から,こういった製品の廃棄物は,できる限り,材料毎に選別を行い,リサイクル率を高めることが求められている.非鉄金属とプラスチックの混合物を高い選別精度で選別するには,一般に,比重差を利用した湿式比重選別や導電性の違いを利用した静電選別が利用されている.湿式比重選別は構造や原理が比較的簡単であるものの,廃液処理設備や選別後の材料の乾燥設備が必要となるという欠点を有している.それに対して,静電選別は乾式であるため,それらの設備が必要でないことが大きな利点である.これまでに報告されてきた静電選別では,高い選別精度を達成するために,コロナ帯電と誘導帯電を併用する方式がほとんどである.コロナ帯電では,コロナ電極から人体に有害なオゾンが発生するため,選別においては換気設備を必要とする欠点を有している.そこで,本研究では誘導帯電のみを利用した新たな振動選別法を提案し,その妥当性を実験的に検討した.また,選別の原理を理論的に明らかにした.実験ではアルミニウムとプラスチックの破砕片を利用した.実験結果から,電界強度や輸送面の傾斜角,輸送面の振動の振幅などが選別性能に与える影響を明らかにした.さらに,最適な実験条件で選別を行ったところ,いずれの材料も高い純度,回収率での選別が可能であることを明らかにした.
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