研究概要 |
ロボットの機能を向上させるために関節数を増やすと,モータ数が増加し重量が増加してしまう.一部の関節をモータを持たない非駆動関節としたマニピュレータが従来から研究されている.しかし当然のことながら,非駆動関節があるために,マニピュレータとしては全関節駆動型のような作業性能は原理的に望めない. そこで本研究では,非駆動関節を有する複数のロボットをお互いに結合させ,閉リンク構造を持つロボット(パラレルロボット)に形態変化させるという独創的なアイディアを提案した.具体的には,4本の3関節2リンク系と出力リンクから構成させる水平面内自己変形パラレルロボットを開発した.3関節のうちベース部の根元関節のみにモータを配置する.パラレルロボットとしてはもっともポピュラーな構成であるが,閉リンク構造のために作業領域が狭いことが従来からの欠点であった.そこで各2リンク系を出力リンクから分離し再結合することにより自己変形する.これにより作業への柔軟な対応や作業領域の拡大が可能になる.パラレルロボットの不定特異姿勢を利用すれば,結合のためのアクチュエータを付加しなくても,結合・分離できることを示した.また分離時には自由度よりモータ数が少ない状態になるが,その制御法を提案し再結合できることを示した.さらに分離・結合時の動的安定性を解析し,安定化制御なしに安定となる姿勢が存在することを明らかにした. 一方,垂直型については,閉4リンク系,閉5リンク系に自己変形できるパラレルロボットに,移動車輪を取り付けることを提案した.これはパラレル移動ロボットと呼ぶ新しい範疇の移動ロボットである.上体のパラレル構造により,バランスをとる,複数台で立体構造を生成する等新たな機能が生まれることを示した.平成15年9月21日に開催された日本ロボット学会学術講演会先端ロボット大集合では約700人の観客の前で実演展示を成功させた.
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